君の魅力

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「「フェロモン香水?」」 圭介の相談を聞いた僕と馨瑠さんの声がシンクロした。 圭介は下を向いてまたモジモジしながら続ける。 「よく雑誌の広告とかに載ってるフェロモン香水ってあるでしょ?あれ馥郁堂で作ってくれないかなぁと思って」 「あの使った途端にモテる!とかいうやつ?」 僕もその広告は見た事がある。 お世辞にもかっこいいとは言えない男の人の写真と体験談が載っていて、フェロモン香水を使ったらモテまくりで困っている、みたいな胡散臭い内容だった。 懐疑的に思っていても、興味がないと言ったら嘘になる。 もしかしたら……と期待してしまう気持ちは同じ男として分からなくもない。 だから馨瑠さんの返答を固唾を飲んで待っていたのだけれど、彼女は少しぽかんとした後、お腹を抱えて笑い出した。 そして一頻り笑った後でごめんごめん、と謝りながら目元の涙を拭って言った。 「夢を壊すようで悪いけど、フェロモン香水なんてないよ」
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