65人が本棚に入れています
本棚に追加
「えー!じゃあ、あの広告は嘘なの?」
圭介はあからさまにがっかりした顔を浮かべている。僕も同じ気持ちだ。
「二人共……そんな悲しい顔をするのは止めてくれよ」
「俺もそんな香水がある訳ないって薄々分かってた……けど、もしかして馨瑠さんなら作れるかなと思ってさぁー!思い切って相談したのにっ!」
圭介は頭を抱えながらカウンターに突っ伏してしまった。
「まぁまぁ、圭介君落ち着いて。笑って悪かったよ。だが、雑誌に載っているフェロモン香水に科学的根拠はないんだ。人間はフェロモンを感じ取る鋤鼻器という器官が退化してしまっているからね。だからフェロモン香水なんてもので異性を惹きつける事は残念ながらできない。」
「そうだよなぁー!そんな都合のいいもんないよな」
唇を尖らせながら椅子をぐらぐらさせている。
「もし本当にフェロモン香水なんて物があったらとっくに政府が少子化対策に使ってるだろうさ。それに、意中の人だけでなく嗅ぐ人みんなに効果が出てしまうよ。飴に集まる蟻みたいになるのは嫌だろう?」
「……確かになぁ。そうなると、香りでモテる!なんてやっぱり無理か」
最初のコメントを投稿しよう!