君の魅力

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僕等が不毛な問答をしていると、勢いよく店の扉が開いた。 「ちわっすー!」 声の主は店内に入り僕等を見付けると、こちらに向かって歩みを進めた。 ショートカットにしたカフェオレ色の髪にすらりと伸びた手足。 中性的な雰囲気でありながら、頬に浮かんだそばかすと黒目がちな瞳があどけなさを残している。 「千草さん!」 「お、颯太少年!勉学に勤しんだ後に労働とは感心、感心!」 立っている僕の肩をポンポンと叩くとそのまま追い越してカウンターに座った。 「なになに?なんか盛り上がってるじゃん」 千草さんは頬杖を突きながら楽しそうに圭介と馨瑠さんを眺める。 「ちょ、ちょうどいい所に来た。是非、圭介君の相談に乗ってやってくれ」 馨瑠さんはよりによって相談相手を千草さんに投げた。 千草さんは近くのフレンチレストランで給仕をしているのだが、時々ふらりとやって来てはお茶を飲んで帰って行く。 たまに買い物もしていくらしいのだが、僕はまだその姿を見た事がない。 なんでも昔からの常連で、ここに引越して来た時からの付き合いと聞いている。 飄々としていて底抜けに明るい捉えどころのない不思議な人だ。 「いいよ。金の事以外なら何でも相談してー」
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