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「馨瑠さん!俺は女の人の意見が聞きたいんだけど!」
圭介は不満気に食い下がっている。
「君ぃ、私を女と見抜けないようじゃまだまだ餓鬼だな」
千草さんはフフンと鼻で笑う。
確かに背も高いし、ラフな格好をしているけど、よく見れば千草さんは女の人だ。
圭介はマジかよ、という表情で千草さんをジロジロ見ている。
そんなに舐め回すように見て失礼じゃないかと心配になったけど、千草さんは全く気にする素振りはない。
それどころか恰好のおもちゃを見付けたと言わんばかりに嬉しそうな顔だ。
きっと、どう料理してくれよう、と企んでいるに違いない。
「さあ、これで懸念材料は無くなった。存分にお姉さんに相談をするがいい!」
それから二人は長々と話し込んでいる。
最初は訝しげな様子だった圭介も時間が経つにつれ真剣な眼差しになっている。
なんだか意気投合してきているように見える。
「……馨瑠さん、あの二人大丈夫かな?不安しかないんだけど……」
僕はひそひそと耳打ちした。
「平気さ。千草はああ見えて抜かりない奴だからな」
肩の荷が下りた安堵感からか、はたまた二人のやり取りに興味がないからか馨瑠さんは涼しい顔で珈琲を淹れている。
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