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「……つまり、女子高生の好みの男性像が知りたいって訳だ」
千草さんはふむふむと頷くと珈琲を口に運んだ。
「あ、マンデリン。挽いたばっかりだね。美味しい」
さらりと豆の種類を言い当てる。
「正解!お土産で貰って今日挽いたんだ」
馨瑠さんはどこか嬉しそうに答えた。
「インドネシアか……いいなぁ」
千草さんはフレンチレストランで働いているだけあって珈琲や紅茶の種類に詳しい。ソムリエの資格も持っていると聞いた事がある。
二人の性格が正反対なのにそれなりの信頼関係が築けているのはここら辺に理由があるように思う。
「で、どうなんですか?俺はどうしたらいいんでしょうか?」
「……圭介、やっぱり人それぞれ好みがあるだろうし、千草さんに聞いても仕方ないんじゃない?」
僕は自分の友人がこれ以上千草さんにおもちゃにされるのは忍びないと感じ、話をまとめようとした。
「いや、そんな事ないぞ!確かに見た目や性格には好みがあるだろう。だけど、万人に使えるテクニックはあるのだ!」
千草さんは熱弁を揮う。
そんな馬鹿な、と僕は思ったが、もしかすると本当なのかもしれない。後学のために聞いておいて損はないと判断し、話の続きを待った。
「女は……自分を見守ってくれている男に弱い!」
千草さんは人差し指をビシッと出し、胸を張ってそう言い切った。
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