迷い猫

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昨日のやり取りがあってから僕は圭介と小湊さんを注視していた。 なるべく二人が会話するきっかけを作ろうと様子を伺っていたのだけれど、小湊さんはクラスの人気者だから常に友達に囲まれている。 結局、話しかけるタイミングすら与えられないまま放課後になろうとしていた。 「今日は無理かもなぁ」 教室を掃除をしながら圭介がぼやいている。 「そうかも……でも小湊さん放課後教室に残ってる事多いし、まだチャンスはあるかもよ?」 「そうだな、それに賭けよう」 だが、僕等の予想に反して掃除を終えると小湊さんは忙しそうに教室を出て行ってしまった。 「帰っちゃったね」 「まぁ、仕方ないよ。こういうのは焦っちゃ駄目だからな。颯太今日バイトないならちょっと公園で作戦会議しようぜ」 「いいよ。その代わりジュース奢ってね」 「おう、任せとけ!」 僕等はコンビニに寄ってからいつも寄る駅前の小さな公園へと向かった。
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