迷い猫

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公園のベンチに腰を下ろし話をしていると、フェンスの向こうを同じ制服を着た生徒が横切るのが見えた。 「圭介、あれ小湊さんじゃない?」 「本当だ。だいぶ先に帰ったのにこんな所で何してるんだろう?」 見ると、トートバッグのような物を手にしている。 「ちょっと俺、話しかけてくるよ」 「おお、頑張って」 圭介は走って小湊さんの所へ向かうと、後ろから声をかけた。 僕は公園のベンチから二人が話しているのを見守る事にした。 昨日のアドバイスを思い返しながら見ていたが、なにやら雲行きが怪しそうだ。 小湊さんが俯いて、圭介は慌てている。 何事かと案じていると、圭介が小湊さんを連れて戻ってきた。 「どうしたの?」 小湊さんを見ると目が腫れている。泣いているようだ。 「なんか、飼ってる猫が家出しちゃって探してるんだって」 決まりが悪そうに圭介は鼻を掻いている。 小湊さんは不安を思い切り浮かべた顔で硬く口を結んでいた。 「チラシを持って聞いて回ってるらしいんだけど、俺達も手伝わない?」 「もちろんいいよ」 「本当に?山田君、白石君……ありがとう」 「じゃあ、手分けして探そう。ある程度聞き込みしたら、一度落ち合って現状確認でいい?」 小湊さんに回った所を確認すると、僕等はそれぞれチラシを手に街を彷徨った。
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