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「そっちはどうだった?」
一度情報を整理しようと僕等は公園に集まった。
「……私の方は全然駄目。チラシは貼ってくれても、目撃情報はなかった」
小湊さんが消え入りそうな声で言った。
「俺も同じ、ここら辺猫は多いけど、黒猫は全然見かけないね」
「僕もコタロウの目撃情報はまるで無し。でも、コタロウが居そうな所を教えてもらったよ」
「本当に?」
小湊さんの顔がパッと明るくなる。
「猫カフェとか動物病院を回ってきたんだ。そこで猫の生態について教えてもらったよ」
藁にもすがる思いで猫カフェや動物病院を訪ねたところ、どこも快くチラシを貼ってくれ役立ちそうなアドバイスをくれた。
「家から半径一キロ圏内の日当たりが良くて、騒がしくなく、雨風がしのげる所を中心的に探すように、だって」
「そうなんだ。じゃあ、ここで探しても仕方ないね。駅前で人が多いから手掛かりが掴めるかなって思ったんだけど……」
「小湊さんの家ってどこなの?」
「うちはクローバーロード商店街の近くなんだけど、分かる?森林公園とかがある……」
「知ってる!知ってる!そこなら颯太が詳しいよ。バイト先近いから」
「白石君バイトしてたんだ?」
「バイトっていうか、雑用だけどね」
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