迷い猫

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夕刻の商店街は活気に満ちていた。 チラシを持って店を回ろうと思っても、どこも忙しそうで及び腰になってしまう。 商売の邪魔にならないようなタイミングがなかなか見つけられない僕等三人は、取り敢えず商店街を一巡しながらコタロウの行きそうな所を探してみる事にした。 「おっ!にぃちゃん今日は別嬪さんは一緒じゃないのかい?」 「今日は違う女の子連れてるなんて隅に置けないねぇ!」 「たまにはうちの店に寄るように美人さんに言ってくれよ!」 商店街を歩くと行く先々の店で親父さん達に声を掛けられる。 「白石君って有名人なんだね」 「違うよ、僕はただの付属品だよ。有名なのはバイト先の店主だよ」 「超美人なの、颯太のバイト先の女店主。それにしても凄い知名度だね。うかうか外に出れないや。どこで何してたか筒抜けになってるんだろうなぁ」 美人は得だと思っていたけど、こんな不都合もあるのか。 知られざる美形の受難に触れ僕は少し馨瑠さんに同情した。 「とりあえず、魚屋と肉屋は当たっておかないとだな」 圭介の提案に賛成すると僕等は目的の店を目指した。
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