迷い猫

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「まぁ、こちらにも落ち度はあるし、荒らされたものは颯太がなんとかしてくれるからそんなに気に病む必要はないさ。その代わりと言ってはなんだが……時々コタロウ君を連れて遊びに来てくれないか?モニタリングに協力してもらいたいのと、その……時々私も彼に会いたいんだ」 さりげなく僕を後片付け役にしたが、ほっとした小湊さんを見ると無下に断れない。 「コタロウも懐いてるみたいですし、喜んで!」 小湊さんにいつもの明るい表情が戻った。 「良かった……ところで、お嬢さんコタロウ君が家出した理由は検討がついているかい?」 「いいえ。数日前から急に外に出たがってどうしちゃったのかなって」 「彼はどうやら発情期のようだ。未去勢の雄猫がマーキング行為でするスプレーが見られる。臭いの強い尿をするだろう?家出や喧嘩を防止したいのであれば去勢を検討する事をお勧めするよ」 「そうだったんですね……家族で話し合ってみます。皆さん、今日はありがとうございました」 小湊さんは頭を下げるとケージを大事そうに抱えて帰って行った。 「さて、俺等も帰ろうぜ!」 小湊さんの悩みも解決したし、圭介の株も上がっただろう。 「じゃあ、馨瑠さん僕もこの辺で」 「ああ、明日から温室の片付けをよろしく頼む」
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