エピローグ

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温室の復興はさほど長い道のりではなかった。 コタロウに荒らされて萎れてしまった茎や苗も、少し手助けをしただけで息を吹き返し、ぐんぐんと成長した。 その生命力の逞しさ、強かさには惚れ惚れしてしまう。 生命の神秘に触れ、僕はさらに庭仕事に入れ込んでしまうようになった。 植物との時間は今や無くてはならない癒しとなっている。 馨瑠さんはといえば時折遊びに来るコタロウにすっかり心を奪われてしまい、その姿たるや眼も当てられない。 乾燥したキャットミントやイヌハッカで作ったねずみのおもちゃやマタタビの枝を来る度に貢いでいる。 小湊さんも喜んでるし、大団円かなと思うのだけれど、肝心な圭介の恋心が届くのはまだまだ先の事のようだ。
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