第1章

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「俺は他人を操れる力を持っている。嘘だと思うならまず君で試してみよう」 男が右手を上げると僕の体は金縛りにあったみたいに動かなくなった。 男が右手を下ろすと僕の体は自由になる。 「これで信じて頂けましたか?」 僕は必死になって頷いた。 この人ならできるかもしれない。 あいつを殺すことを。 僕はある会社で働いている「甲斐 入戸(かい いれど)」というごく普通のサラリーマンだ。 そんな僕がネットの闇サイトを頼り人殺しを依頼した。 許せない奴がいたのだ。 自分でやれよなんていう人がいると思うが、できない。 自分の手を汚すなんてできない。あいつと同じになってしまうから。 ターゲットの名前は「中 己自(あたり こうじ)。僕の会社の社長だ。この会社、他に類を見ないブラック企業で、何度も訴えられているが、いずれも相手が訴訟を取り下げたため何のお咎めも無しだ。 その間にも僕の同僚がうつ病になり自殺した。彼の両親が訴訟を起こしたが、これも取り下げられている。 同僚の両親に聞いたが自殺ではなく、事故だった。会社に申し訳ないことをしたと逆に謝っていた。 きっと社長が圧力(ヤ〇ザなど)をかけて訴訟を取り下げさせたに違いない。 僕もこんな会社にいたらおかしくなってしまう。 だから、社長を殺して自由になろうと思った。 依頼は済ませた。あとは報告を待つだけだ。
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