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そう言う老人の目は悲しい目をしていた。
アルマは嫌な予感を働かせて、恐る恐る老人に聞く。
「なん‥‥で?」
「隠された大陸の人間がこの村にいると知って、政府が放っておくと思うのか?君が戻れば村の者が危険な目にあうじゃろう。残念じゃが‥‥」
老人はそこで言葉を止める。
そして老人は目を見開いて村の方を見ていた。
アルマはゆっくりと村の方を振り返る。
そしてその瞬間、思わず声を漏らした。
「え?」
短く声を漏らすアルマの視線の先にあるもの。
それは炎が立ち込める自分の村だった。
アルマは状況が理解できずに、ただ膝から崩れ落ちる。
その間にも、老人が村の方を見て呟く様に声を出した。
「もう来たか‥‥。」
しかし老人のその言葉は、アルマの耳に入る事はない。
それほどアルマは驚いているのだ。
すると続けて老人がアルマに声をかけた。
「少年よ。今村に戻ったら君も殺される。いいか?このまま北に向かって逃げろ。そしたら‥‥」
「何?なに言ってるのおじぃちゃん。まるで村の人達がもう殺されたみたいに。もし政府の人間だとしたらそんな事するわけ‥‥」
「事実を伝えずに子供に魔法を教え、軍隊を育てる政府じゃぞ?」
アルマはその老人の最もな意見に言葉を失う。
もしかしたら、自分を探し出すために政府は村人を攻撃してるのかもしれない。
そんな考えが頭をよぎる。
しかしアルマは逃げるよりも先に、村に向かって走り出していた。
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