第1章 魔法の使えない少年

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そう言う老人の目は悲しい目をしていた。 アルマは嫌な予感を働かせて、恐る恐る老人に聞く。 「なん‥‥で?」 「隠された大陸の人間がこの村にいると知って、政府が放っておくと思うのか?君が戻れば村の者が危険な目にあうじゃろう。残念じゃが‥‥」 老人はそこで言葉を止める。 そして老人は目を見開いて村の方を見ていた。 アルマはゆっくりと村の方を振り返る。 そしてその瞬間、思わず声を漏らした。 「え?」 短く声を漏らすアルマの視線の先にあるもの。 それは炎が立ち込める自分の村だった。 アルマは状況が理解できずに、ただ膝から崩れ落ちる。 その間にも、老人が村の方を見て呟く様に声を出した。 「もう来たか‥‥。」 しかし老人のその言葉は、アルマの耳に入る事はない。 それほどアルマは驚いているのだ。 すると続けて老人がアルマに声をかけた。 「少年よ。今村に戻ったら君も殺される。いいか?このまま北に向かって逃げろ。そしたら‥‥」 「何?なに言ってるのおじぃちゃん。まるで村の人達がもう殺されたみたいに。もし政府の人間だとしたらそんな事するわけ‥‥」 「事実を伝えずに子供に魔法を教え、軍隊を育てる政府じゃぞ?」 アルマはその老人の最もな意見に言葉を失う。 もしかしたら、自分を探し出すために政府は村人を攻撃してるのかもしれない。 そんな考えが頭をよぎる。 しかしアルマは逃げるよりも先に、村に向かって走り出していた。
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