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ガルゴ率いる軍隊が撤退して、三時間ほどが経っていた。
アルマはただ呆然とボロボロになった村を眺める。
アルマはお母さんが死んだ後に、すぐに近くの土に死体を埋めて墓を作った。
お母さんだけではなく、亡くなった村人達を土に埋めた。
その作業中に涙がこぼれた数は、もはや数えきれる量ではない。
相変わらず呆然と村を眺めていると、そのうちに老人がアルマの横に腰をかける。
「残念じゃったなアルマ。」
「‥‥‥‥。」
老人の問いに、アルマは応えることなくただ俯く。
そのうち、老人はため息をついてアルマに声をかける。
「これからどうする気じゃ?」
「‥‥わからない。リンクの姿も見当たらないし、僕はこれからどう生きていけばいいんだろう。」
アルマはそういいまた大粒の涙を流す。
アルマの言う通り、大勢死んだ村人の中で何故かリンクの死体だけは見つからなかった。
その出来事が、リンクにとってはある意味の希望にはなっている。
そのうち、ようやくアルマは老人に対して声を開いた。
「おじぃちゃん。一体何者なの?魔法使えるじゃん」
「‥‥‥。あれは魔法じゃない。伸びる棒も、水が飛び出すパチンコも、治癒能力がある拳銃も、全ては武器の力じゃ」
老人のその言葉に対して、アルマは呆れた表情をしながら老人の武器を眺める。
人が魔法を使えるのは当然の世界だけど、武器が魔法を使えるなんて聞いたことがないからだ。
その内に、老人は笑いながらガラクタを一つずつ取り出して説明を始める。
「例えばこのヨーヨーは念じることで鎖付きの鉄球になる。この花火は念じることでバズーカになる。この木刀は衝撃を吸収して跳ね返すことが出来る。」
その老人のあまりに突拍子の無い話しに、アルマはむしろ笑いがこみ上げてきてしまった。
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