第3章 魔法学校のはみ出し者

3/15
前へ
/170ページ
次へ
沈んだ気持ちを取り直して、再び歩き出そうとしたその時だった。 森の方から雑草をかき分ける音が聞こえてくる。 アルマはその音を聞いて、少しだけ警戒しつつ立ち止まる。 そして、その音が再び聞こえてきた時に気づいた。 【何か】がこちらに近づいてきている。 それが生物なのかどうかすら分からないが、草をかき分けるその音は徐々に近づいてくる。 アルマは慌てて錆び付いた剣を構え、音のする方をじっと見る。 次の瞬間、森の中から1人の少年が飛び出してきた! 「うわっ」 アルマは思わず驚いて声を漏らす。 森の中から飛び出してきた少年は、アルマと同じぐらいの年齢、そして紫の服を身にまとっていた。 紫の服を身にまとった少年は、アルマの存在に気づくや否や見つめてゆっくりと口を開く。 「ん?お前は確か‥‥魔法が使えねぇやつか?」 アルマはその少年の言葉に少し驚いてみせた。 見ず知らずの少年が自分のことを知っていたからだ。 すると少年はこちらの返答を待っていた。 アルマは少年に恐る恐る声をかける。 「な、なんで知ってるの?」 「なんでって言われてもなぁ。そりゃ雑誌とかに乗ってるからそこそこ有名だろ?」 「あ、あぁ。なるほど。」 確かに少年の言う通り、アルマは【魔法が使えない少年】として何度か雑誌に載ったことはある。 しかしアルマは自分の村を出たことが無いので、自分の知名度がどれ程のものかは知らなかった。
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加