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沈んだ気持ちを取り直して、再び歩き出そうとしたその時だった。
森の方から雑草をかき分ける音が聞こえてくる。
アルマはその音を聞いて、少しだけ警戒しつつ立ち止まる。
そして、その音が再び聞こえてきた時に気づいた。
【何か】がこちらに近づいてきている。
それが生物なのかどうかすら分からないが、草をかき分けるその音は徐々に近づいてくる。
アルマは慌てて錆び付いた剣を構え、音のする方をじっと見る。
次の瞬間、森の中から1人の少年が飛び出してきた!
「うわっ」
アルマは思わず驚いて声を漏らす。
森の中から飛び出してきた少年は、アルマと同じぐらいの年齢、そして紫の服を身にまとっていた。
紫の服を身にまとった少年は、アルマの存在に気づくや否や見つめてゆっくりと口を開く。
「ん?お前は確か‥‥魔法が使えねぇやつか?」
アルマはその少年の言葉に少し驚いてみせた。
見ず知らずの少年が自分のことを知っていたからだ。
すると少年はこちらの返答を待っていた。
アルマは少年に恐る恐る声をかける。
「な、なんで知ってるの?」
「なんでって言われてもなぁ。そりゃ雑誌とかに乗ってるからそこそこ有名だろ?」
「あ、あぁ。なるほど。」
確かに少年の言う通り、アルマは【魔法が使えない少年】として何度か雑誌に載ったことはある。
しかしアルマは自分の村を出たことが無いので、自分の知名度がどれ程のものかは知らなかった。
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