27人が本棚に入れています
本棚に追加
--魔法学校が設立されて40年。
四つの大陸の中で、一番小さな大陸の一番小さな村に少年はいた。
少年の名前は【アルマ】。魔法は‥‥使えない。
「なんで魔法が使えないんだよぉ!」
アルマは、まるで駄々をこねるように母に叫ぶ。
そんな毎日のように繰り返される光景に、母は食事の支度を始める手を止めることない。
ただ微笑みながら平謝りをするのみだ。
「ごめんねぇ。もうすぐ夕飯だからね」
「そうやっていつも話を逸らして!」
諦めたアルマは軽くふてくされながら、家を飛び出した。
もちろんこれもいつもの事だ。
家を飛び出したアルマは、無意識にいつもの場所に来ていた。
小さな川のほとり。
小鳥が澄んだ鳴き声をあげるのを邪魔するかの様に、アルマは川に石を投げ捨てる。
そして何度目かのため息をついた。
アルマは魔法が使える人間が羨ましかった、魔法学校に通いたかったのだ。
だが無情にもその思いは神様には伝わらない。
呆然と川を眺めて何時間たっただろう。
真上にあった筈の太陽は、既に地平線へと隠れようとしている。
そんな時、アルマの元へ一人のボロボロのマントをつけた老人がやってきた。
その老人は今にも倒れてしまいそうな程細い足をしていて、プルプルと震えていた。
アルマはこの老人がこの村の人間では無いことがすぐにわかった。
小さな村だ、村人全員が顔見知り。
「おじぃちゃん。どうしたの?」
最初のコメントを投稿しよう!