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「ぶわはははは。面白い少年じゃな。その通りじゃ。ワシはガラクタを売りにここに来たわけじゃない。君に会いに来たのじゃ。」
「僕に?」
「そうじゃ。魔法の使えない人間にな。」
アルマはその老人の言葉に、眉間にシワを寄せて聞き入る。
魔法の使えない人間に用があるなんて、意地の悪い記者しかいないからだ。
意地の悪い記者からしたら、魔法が使えない人間は睡眠をしない人間より珍しい。
アルマは驚きながらも老人の次の言葉を待った。
「驚くな少年。実はワシも魔法が使えない。」
「え?そんな、嘘だぁ。」
「嘘じゃないさ。ワシはもう70になるが生まれてこのかた魔法を使えたことなんてない。」
「ほ、本当に?」
「本当じゃ。そこで少年よ。自分が魔法を使えない理由を考えた事はあるか?」
アルマはその老人の質問に困った。
確かに、アルマはなんで魔法が使えないんだろうと落ち込んだ事はある。
というよりは毎日落ち込んでいる。
だが使えない理由を考えた事はないからだ。
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