~02~

4/5
前へ
/14ページ
次へ
俺は裕翔のところへ向かった。 侑李の方は振り返らずに。 ここで振り返ると侑李といてしまうかもしれないから。 裕翔の居場所はわかってる。 屋上だ。 悲しいときも、嬉しいときも、俺らはいつも屋上に行く。 「裕翔…っ」 やっぱりいた。 体育座りをして顔を埋めて。 「りょ…ちゃん…っ」 「裕翔…っ」 「僕は涼ちゃんのこと大好きだよ?でも…」 「でも…涼ちゃんには幸せになってほしいんだ…侑李くんが好きなら侑李くんのとこ行ってあげて。侑李くんが待ってる」 「うん、侑李は待ってると思うよ。きっと泣いてる。でもな?俺が今一緒にいたいって思うのはひとりしかいない」 「裕翔だけなんだ…」 「涼ちゃん…っ」 「侑李のことは勿論好きだよ、友達としてな」 侑李が嫌いなわけじゃない。 寧ろ好きだ。 でもそれは恋愛ではない。 「涼ちゃんっ大好きっ」 そう言って 裕翔は俺に抱きついた。 これ。 この温もりが好きなんだ。 この笑顔があれば俺はもうなにもいらない。 「俺も。愛してるよ……裕翔…」 それから 深いキスをした。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加