12人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は裕翔のところへ向かった。
侑李の方は振り返らずに。
ここで振り返ると侑李といてしまうかもしれないから。
裕翔の居場所はわかってる。
屋上だ。
悲しいときも、嬉しいときも、俺らはいつも屋上に行く。
「裕翔…っ」
やっぱりいた。
体育座りをして顔を埋めて。
「りょ…ちゃん…っ」
「裕翔…っ」
「僕は涼ちゃんのこと大好きだよ?でも…」
「でも…涼ちゃんには幸せになってほしいんだ…侑李くんが好きなら侑李くんのとこ行ってあげて。侑李くんが待ってる」
「うん、侑李は待ってると思うよ。きっと泣いてる。でもな?俺が今一緒にいたいって思うのはひとりしかいない」
「裕翔だけなんだ…」
「涼ちゃん…っ」
「侑李のことは勿論好きだよ、友達としてな」
侑李が嫌いなわけじゃない。
寧ろ好きだ。
でもそれは恋愛ではない。
「涼ちゃんっ大好きっ」
そう言って
裕翔は俺に抱きついた。
これ。
この温もりが好きなんだ。
この笑顔があれば俺はもうなにもいらない。
「俺も。愛してるよ……裕翔…」
それから
深いキスをした。
最初のコメントを投稿しよう!