6943人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「ニヤニヤし過ぎ」
「えへへ」
「そこのスーパーで材料買って行こうか」
「うん!」
私の家から一番近い距離にあるちょっと小さめのスーパーは、大型スーパーと比べると品揃えは劣るけれどとにかく値段が安い。
だから、利用頻度は結構多い方。
いつもは一人で行くか、ママと一緒に行くこのスーパー。
そんな行き慣れたスーパーに、棗くんと一緒に来る事が出来るなんて。
何かもう、一緒にカートを押しながら歩くだけで、ドキドキしてしまう。
「使う野菜とか、適当にカゴに入れてって」
棗くんがカートを押して歩く横に、ぴったりと寄り添う私。
周りから見たら、どんな風に見えるのかな。
ちゃんと恋人同士に見えてるかな。
間違っても、お兄ちゃんに懐く妹のようには見られたくないな。
「棗くんはいつも自炊してるんだっけ」
「一応、全く料理出来ないわけじゃないけど。でもそんな大したものは作れないし、作らないよ」
二人で野菜や肉を選んで、カゴの中へ入れていく。
いつも見慣れた売り場が、棗くんが隣にいるだけでまるで別世界に見えてしまう。
……嬉しい錯覚だ。
最初のコメントを投稿しよう!