近距離バトル、勃発

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「ニヤニヤし過ぎ」 「えへへ」 「そこのスーパーで材料買って行こうか」 「うん!」 私の家から一番近い距離にあるちょっと小さめのスーパーは、大型スーパーと比べると品揃えは劣るけれどとにかく値段が安い。 だから、利用頻度は結構多い方。 いつもは一人で行くか、ママと一緒に行くこのスーパー。 そんな行き慣れたスーパーに、棗くんと一緒に来る事が出来るなんて。 何かもう、一緒にカートを押しながら歩くだけで、ドキドキしてしまう。 「使う野菜とか、適当にカゴに入れてって」 棗くんがカートを押して歩く横に、ぴったりと寄り添う私。 周りから見たら、どんな風に見えるのかな。 ちゃんと恋人同士に見えてるかな。 間違っても、お兄ちゃんに懐く妹のようには見られたくないな。 「棗くんはいつも自炊してるんだっけ」 「一応、全く料理出来ないわけじゃないけど。でもそんな大したものは作れないし、作らないよ」 二人で野菜や肉を選んで、カゴの中へ入れていく。 いつも見慣れた売り場が、棗くんが隣にいるだけでまるで別世界に見えてしまう。 ……嬉しい錯覚だ。
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