0人が本棚に入れています
本棚に追加
「結婚してください!」
突然だった。
大学の頃から付き合っている彼女に逆プロポーズされた。
同い年で付き合って7年。27歳になる。
「ごめん、まだできないよ」
そう答えると彼女は「やっぱり?えへへ」と答えを知っていたかのように悪戯に笑った。
僕はホッとしたけれど背徳感に襲われた。
もう少し待ってくれ、まだ一人前じゃないんだ。
彼女のことは大好きだし、とても大事に思っている。
だからこそ。
そんなことがあってから一ヶ月後彼女また
「結婚してください!」
先月と同じように僕に逆プロポーズ。
本気なのか?
ならばなおさら受けられない。
僕も先月と同じ答えを出す。
そして彼女はまた笑う。
それから毎月逆プロポーズされるようになった。
同じ言葉で返事をする。
最初の頃は背徳感に支配されていたが、
そのうちそんなめんどくさい遊びに付き合っている僕は、自分が優しい彼氏のように思えてきた。
そして一年が経った頃ソファーに座りながら
彼女が何か言いたそうだ。
僕はその言葉を待つ。
「別れてください」
最初のコメントを投稿しよう!