0.1%の可能性に賭ける

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先生も二人の様子を見てほっと安心のため息を吐いていた。 やがてきりかは先に退院をする。 退院しても母乳を絞っては娘の可憐のもとに運んで行く。 そして自分で飲ませて(注入して)、抱っこして可憐を感じている。 毎日通う様になって可憐の表情がだんだんと読み取れるようになってきた。 看護師さんからは、表情がないわねと言われていたが、可憐はきりかが抱くと喜んでいた。 うっすらと目を開けて、きりかを確認するように視線を向けていた。 それに、きりかに抱かれるとあくびを必ずして眠るのだった。 やはりこれは母親しかわからない事なのかもしれない。 我が子の些細な仕草も全てわかる。 この子が一歳の誕生日を向かえる事が出来ないなんて、何とかしてこの子をいかしてやりたいと思っていた。 その気持ちは霧島も同じだった。 可憐が生まれて半年がたとうとしていた。 先生から「霧島さん、お子さんの状態は安定してきています。今なら帰ってもよろしいですよ。そのためには可憐ちゃんの世話をするために色々とやってもらわなければなりません。可憐ちゃんは今はちゃんと哺乳瓶で飲めるようになりました。そのときの注意点や、かえってからの状態の変化について、観察点を学習してもらいます」と言うと看護師を呼んだ。
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