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霧島は驚きを隠せなかった。
これからも、生まれてくるのは奇形児だけだと言われたら、もう子どもは作れないと思うのだった。
「先生、それは私達だからですか。もし、どちらかが違う相手を選んでいたら、奇形は生まれてこなかったのですか」
先生はゆっくりと、しっかりとした口調で話してくれた。
「ハイその通りです。お二人だから99.9%の確率で奇形児が生まれます。健康な子が生まれる確率は0.1%しかありません。残念な事です。もしどちらかが違う相手と結婚なさっておられたら、奇形児の生まれる確率は逆転します。多分奇形児は生まれず健常児が生まれた事でしょう」と目を伏せながら言う。
それを聞いたきりかは涙目になっていた。
「先生、それは私達の持つ遺伝子が悪いと言う事ですね。だから、奇形児しかできないのですね。この先何人子どもを産んでも私は育てることは出来ないのですね」と言うと唇をかみしめていた。
霧島は、そんなきりかの肩を優しく抱きしめていた。
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