0.1%の可能性に賭ける

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そして、出産の日はとてもいいお天気だった。 きりかは陣痛を一度経験しているが今回また初めてという奇妙な体験をしている。 そして、霧島の立ち合いのもと生まれたのは、同じ女の子だった。 霧島は顔を見た。 奇形は無かった。 次に手足を見た、そこにも奇形は無かった。 染色体異常のダウン症の顔もしていない。 そしてよく泣く子だった。 泣いても唇にチアノーゼは出ていない。 霧島は0.1%の可能性が出たのかもしれないと思った。 霧島は先生に「先生、この子心臓は大丈夫でしょうか。実は私の身内に心臓に欠陥のある子がいるんです。もしかしたらこの子にも出ているんじゃないかと思って調べてもらえませんか」とお願いする。 先生は笑顔で「そうなんですね。それなら調べてみましょう」と言ってくれた。 もしこれで異常がなければ、0.1%の可能性に賭けた俺たちの勝ちだと思った。 そして、可憐はその場できりかに面会していた。 そして可憐を抱きしめるきりかは涙を流して喜んでいた。 「可憐逢いたかったわ」と言うと可憐は泣き止み微笑んでいた。 それはまるで母の言う言葉が解っている様に。 それから、先生から可憐の心臓には何も障害のない事が解った。 「きりか、成功したな。よかった」と呟く霧島。 「ええ、あなたよかったわ。また可憐にあえて。これからは3人で幸せに暮らしていきましょう」と答えるきりか。
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