0.1%の可能性に賭ける

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だが、きりかのお腹の子は全く動かない。 でも病院では心臓は確かに動いていると言われて安心していた。 きりかは、母親の勘と言うやつでおかしいと思っていた。 いくらおとなしい赤ん坊だってこれほど動かない子はいないだろう。 もしかして何かの病気を持って生まれてくるのではないだろうかと不安を持ち始めていた。 「ねえ、あなた、この子全く動かないの。おかしくない」 「きりか、先生も言っていただろう。おとなしい子供もいるよって。だから心配しなくていいよ」と笑顔で答える。 それでもきりかは「でもね、何だかおかしいのよ。私心配なの」と言う。 霧島は「大丈夫だよ。あんまり心配するとお腹の子に障るから気にしないようにしよう」と言われる。 きりかはもうそれ以上は言わなかった。 言ったところで何も変わりはしないのだから。 やがて生まれてきた赤ちゃんを見て霧島は絶句した。 きりかはお産後の疲れの為にまだ赤ちゃんに合わせてもらえなかった。 霧島は目の前にいる自分の子どもを受け入れたくなかった。
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