0.1%の可能性に賭ける

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その日のうちに先生から霧島の方に話がなされた。 「霧島さんお子さんの事なのですが。重度の障害を持って生まれています。まずは口蓋裂と言って口の中と上唇が割れています。こうなるとミルクが飲めないので鼻からチューブを入れて栄養を取ります。手足の指も数が足りないでしょ。これも奇形です。多分目も見えないかもしれません。ダウン症も発症しています。 そして、心臓にも奇形があって、この状態だといつまで生きられるかわかりません。この現実を奥さんに話さなければならないのですが、この事を受け入れることは出来るでしょうか。とはいえ必ずお子さんに逢えばばれる事なのですが」と暗くなる先生。 霧島はしばらくボー然としていた。 我が子がこれほど重度の障害を持って生まれてくるとは思いもよらなかったのだ。 今、目の前にいる見た目にも醜い子どもを我が子として受け入れる事がなかなかできない。 だが、先生にこれからの事を妻と話さなければならないと言われている。 「先生、妻にはもう少し黙っていてもらえませんか。退院する時に言うのが良いかと思います」
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