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佳歩side
「佳歩、朝よ~」
毎朝同じ時間に聞こえる、お母さんの声。
「今から降りる~」
タンッタンッと、リズムよく階段を降りる。
「おはよ」
「おはよう、佳歩。朝ご飯できてるわよ」
「うん、ありがと」
「じゃあ、お母さん仕事行ってくるわね。鍵閉めて行くのよ~」
「わかってるって」
うちは、いわゆる母子家庭ってやつだ。
あたしが物心つく前に離婚したらしい。
だから父親の顔は知らない。
別に今更知りたくもない。
ただ今は。
「勉強、頑張んなきゃ」
お母さんに、少しでも楽をさせてあげるために。
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