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始まりはダブルプレイ
〇千石マーリンスタジアム
二遊間に転がる打球をショートが補球、ベースに入るセカンドにバックトス、そしてボールはファーストに一直線。見事に2つのアウトコール。
N「ダブルプレイ――1つの打球で2つのアウトを獲ること。この6、4、3(ショート→セカンド→ファースト)と渡る場合は、ショートとセカンドの微妙なタイミング、呼吸が合わなければ難しい」
満足げに目でうなずき合ってベンチに戻ってくる豊川修(27)と内村光夫(38)。
が、内村はヘルメットとバットを掴んだところで、監督に制止され、代わりに南原(20)が出てくる。「代打南原」のアナウンス。
〇同 記者席
グラウンドを見ている野々村結子(26)と松本(22)。
松本「あーあ……二遊間の黄金コンビと言われた豊川と内村もそろそろ解消っすかね?」
結子「内村はもう38だからね……でも年齢より何より、気合いが見えない」
南原が高々とホームランを打ち、試合はサヨナラ勝ち。
〇同 グラウンド
南原の周りに記者達が殺到している。
結子と松本もコメントを録音しているが、ひっそりと引き上げる内村と豊川に気づき、そっちを追っていく結子。
結子N「あたしは東都スポーツのプロ野球担当記者。あたしの書く『ファウルチップ』が選手を一人ずつこき下ろすコラムとして好評を得ていることから『激辛キッコ』と呼ばれている。今回のターゲットはこのベテラン内野手、内村」
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