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○同 外観
青空駐車場で刑事達に取り押さえられる男。
その場には市販の花火がいくつも転がっている。
男「本当に爆弾を仕掛けた訳じゃない。オレはただ……グレチキのための花火を上げたかったんだ。それだけなんだよっ!」
集まってくる野次馬を押しのける刑事たち。男は拾い集められた花火と共に連れて行かれる。
松本「もしかして……あれが爆弾犯人?」
結子「……のようね」
○同 ベンチ裏
記者達がはけた後、待っている結子に気付く風間。苦笑する。
風間「今日は疲れた……今日ほど疲れたことはない」
結子「責任重大ですからね。負けたら観客も選手も全てがドカン」
風間「勝ってよかった――お前にもまた会えて」
結子「あたしはあんな瀬戸際に、監督に会いたいなんてこれっぽちも思いつかなかったわ」
風間「だろうな。けど私はお前にも、朱子にも会いたかった」
結子「奥さんや息子の方が先でしょ?」
風間「後先なんかない。不出来な娘に会いたいと思っちゃ悪いか」
結子「……フン」
風間に見えないように、少し嬉しそうな顔になる結子。
風間「用は何だ?」
結子「何も。ただ、あたしは今日みたいな野球がもっと見たい――そう言いたかっただけ」
風間「……そうだな。いつもそうできればいいんだがな」
風間、ちょっと複雑な表情。
結子「スポンサーとかマスコミとか選手の生活とか。いろいろネックがあるのはわかってます。けど、やれることから一つずつ潰してく……そういうのってできないことじゃないかもって」
風間「たまには気が合うな」
結子、風間、ニンマリと笑い合う。
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