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どこかで誰かから、「赤」という色は、 生き物に「危機」や「危険」を知らせる色だと聞いたことがある。 まぁその真偽は、さて措き、 回転する赤色灯に関しては、まぎれもない緊張感と多少の好奇心を 疼かせるものだと改めて思う。 そして、その夜。 俺は、思いがけない場所で、その緊張と好奇心を疼かせる「灯り」に 出会ったのだ。 のんびりとした春休みも残すところ僅かとなり、 俺の集中的なバイト生活も秒読みとなった。 だが、新入生だった去年に比べ、色々な意味で準備も要らぬこの年は、 あまり変わり映えもない時の中で淡々と新年度を迎えようとしている。 だからこの集中バイトも、残りあと数回。 お蔭で、懐は暖かくなった。 その一方で、先が見えてくるとさすがに気が緩むのか、 なんとなくこのところ、積み重なる疲労が体に纏わりつくようになった。 そして、この日。 早番のバイトを終えた俺は、 だるさと眠さの間を揺らぐような体を愛車に乗せ、 まだ、夜の顔になりきらない町を走り抜けていた。
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