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どうしようもないじゃないか。
あいつはノンケで、俺だけこんな嗜好なんだ。
一年前、あいつに会うまで、自分にこんな感情があるだなんて思いもしなかった。
女は元より男にだって、こんな気持を抱くことはなかった。
だからただ一人で生きて。
そうやって、俺はいくんだって思ってたのに――
「明久」
ハッ、として顔をあげる。
「どうした、行こうぜ」
差し出された、その手。
思えば出逢いも、そうだった。俺は走り高跳びで失敗し、足首を捻ってしまった。
だけど誰も気づかず、どうしたんだよと笑うばかりで助けに来ない。
別に期待してねぇよ。
ただ世を嘆く俺にお前は――
「あぁ……お前はいつも、その……」
「なんだよ?」
どうか神様、少しくらいの勇気を俺にくれよ?
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