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『それはどうかな、さらに絶望すれば良し、そうでなければそのまま喰らうまでだ。飽くまで気まぐれなのだ』
アリスはそう言ってつまらなそうに髪を弄びながら俺の答えを待つ。
「契約の内容はわかった。それで?俺にどんなメリットがあるんだ?」
『3つの内一つ異能を授けよう。其れを以って主がどう行動し結果どんな絶望を抱くかを見たい』
アリスは小さな手の掌を俺に向け指を3本立てて見せる。
「待て、何で絶望する前提なんだ?」
『主の人生が上手くいけば、喰らう時に絶望するであろう?また失敗すれば、そこで主はさらに絶望する...どちらに転んでも我は愉しめる』
「まさに悪魔...外道と言っても良いな。それで?異能とやらはどんなものだ?」
『ひとつ、時間を巻き戻せる能力。ふたつ、人の心を読める能力。みっつ、他人を操れる能力。この中から選ぶがよい』
幼女はドヤ顔でその3本指をこれでもかと俺の顔面に近づけてくる。
「幾つか異能について聞いても良いか?時間を戻したとして、その後更に過去に戻る事は出来るのか?」
『無論だ』
「じゃあ仮に、俺が昨日に時間を戻したとして、そこにその時間の俺は居るのか?」
『いいや、時間上に存在できるのは主一人だけだ』
(成る程...能力は消えずにその時の自分になれる訳か)
「心を読める異能は、周囲の人間の心が無差別に聴こえたりしないよな?オンオフ切り替えはできるのか?」
『無論だ』
「他人を操れる異能は、何処まで操れる?」
『その人間が実行可能な行動全て。自然の法則や物理を逆らう事は出来ぬ』
その言葉を聞いた俺はふとよからぬ考えが頭をよぎる。
俺が腕を組み少し考え込むとアリスはニヤニヤと俺の顔色を伺っていた。
『良い良い、魂を掛けた契約なのだ。確り悩むが良い』
ケラケラと笑うと、宙に漂い俺の答えを今か今かと待つ。
「操る異能を使って、アリスを操ってしまえば、3つとも手に入れられるんじゃないのか?」
『ほう、少しは頭が回る様だ。だが残念だったな、我が異能を授けると、我はただの人に成る。我の力を主の望むままの能力にし主に貸し付けるのでな』
(ふむ...これで必要な情報は手に入ったな)
俺は顎に手を当てふと疑問に思った事をアリスに投げかけてみる。
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