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「では、あなたが心に思い浮かべていた四桁の数字、仰ってください」  そのセリフで出演者たちの視線がアイドルの福永へと集まる。  彼女はもったいぶるように間を置いてから、おずおずと口を開いた。 「えっとぉ、4196でっす」  それを聞いたダイキはゆっくりと肯き、封筒からカードを取り出した。それをカメラに向ける。そこには大きく4196と数字が並んでいた。 「えー。なんでぇ」と福永が口に手を当てる。 「気をつけないと、銀行の暗証番号も読み取られちゃいますね」  司会の田所が冗談交じりにダイキを見た。 「安心してください。悪用はしませんから」  ダイキは爽やかな笑顔で応じてから、 「では最後にもう一つ。今度は人の行動を操りたいと思います」  彼の合図でスタジオにテーブルが運び込まれてきた。その上には五つのグラスが並び、それぞれに別の飲料が注がれている。 「こちらに五種類の飲み物があります。左から、コーラ、オレンジジュース、コーヒー、水、緑茶です。今から私はこの中の一つを、便箋に書き留めます。それと同じものを、このスタジオにいらっしゃるゲストのどなたかに飲んでいただこうと思います」  おお、と五人の出演者と司会者が顔を見合わせる中、ダイキは便箋にすらすらと書き込み、封筒に入れた。それをテーブルに置くと、 「では、次は小野さんにお願いします」  呼ばれた男性アイドルが「はい」と一歩前に出た。
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