盾と鉾とオレと犬

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「流星に文句ゆおうとしてもこいつがいっつも邪魔してきたけんね。あんたいっつもこの言葉しょっとんじゃもん、……従うしかなかったけん」 「これ、知らんかった」 「ほんまに? 流星、意外と抜けとるけんね」 「うっせえ」  思わず昔の感覚でド突くと、ひゃはっと嬉しそうに笑う。 「じゃ、おれもう行くわ。あっこの店でジェラート買って帰るけん。流星も行く?」 「オレ寒いけぇいい」 「オッサンか。素直にあいつ待っとるけ動けれんって言えや」 「うっせえ」  わんすけがスッと立ち上がると、向こう岸のドームと姿が重なって見えた。オレの背中には文字。ああ、そういうことなのかと妙な得心がいく。胸がじんわりと温かくなり、無性にみのりに触れたくなった。  見送るために自分も立ち上がり、歩を進めだしたわんすけを目で追う。彼の背後の景色は少しずつ移り、オレは元安橋の上の親子がもういなくなっていることにようやく気づいた。 「流星。お幸せに。たまには連絡してえや」 image=497057950.jpg
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