序章 薄っぺらな愛

2/7
前へ
/583ページ
次へ
何か云いたければ云えばいい。 いつもそう叫ぶ。 けれど、けっして応えられることはない。 永久に答えは聞けない。 無意識下でもそう知り尽くしているからこそ、応えられることはないのか。 裏切ってなどいない。 幸せから遠ざける。 それが至上ではないのか。 訴えても何も還ってくるものはない。 口を閉ざし、応えられないのなら、もう消えてくれ。 瞳は無言で責め立てる。 そうして、近づくなと拒絶していたのは自分のくせに、今度は纏いつくようにして躰を束縛する。
/583ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1395人が本棚に入れています
本棚に追加