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手首がすぐさまつかまれる。
紫己は気だるそうな眼差しで朱実を見下ろした。
「さわるな」
朱実の手を払いのけると、紫己は朱実の脚の間に手を入れた。
敏感な場所を指がかすめると、それだけで朱実は快楽に喘ぐ。
そこが、体内の入り口から溢れた蜜でぬめっているのは、紫己から音を立てられなくても感触でわかっていた。
「触ってもいないのにすごいな。朱実は最高だ」
紫己は桔平の言葉を真似た。
けして賛辞でもなければ悦に入っているわけでもない。
「寝ろ。おれは仕事がある」
邪険に朱実を目のまえから遠ざけ、紫己は身なりを整えるとダイニングのテーブルに行った。
抱き合ったあとに抱きしめられることがいかに幸せだったか、朱実は虚しいほど思い知った。
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