5.一つしかない選択肢

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「こんばんは、乗って」 静華は助手席を指差した。 「……え?」 唐突な誘いに朱実はなんの判断もつかない。 「話したいことがあるの」 「でも……」 「ムラサキが待ってるから? ちょっとですむわ。それに、ムラサキの将来に係わることだと云ったら?」 そう云われれば避けるわけにはいかない。 静華や桔平たちとの付き合いがあれからどうなっているのか、紫己に訊いておくべきだったと朱実は後悔した。 いま、本当に避けられないのか、判断材料にはなったはずだ。 「朱実さん、人に聞かれたらまずいんだけど」 「……わかりました」 「じゃ、乗って」
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