5.一つしかない選択肢

6/31
1386人が本棚に入れています
本棚に追加
/583ページ
静華の神経が知れない。 信じられない気持ちで彼女を見つめた。 紫己は静華のことを否定した。 なお且つ、ぎくしゃくした、マイナス面しかない関係であっても紫己は朱実を放りださない。 むしろ、家のなかでは拘束されて逃げられない。 「わたしは、し……ムラサキから離れないんじゃないんです。ムラサキが出ていけと云うんなら出ていきます。でも、いまはそうじゃないから……」 静華はわずかに目を細め、それまで友好的に見せていた雰囲気を冷ややかに変えた。 「ムラサキが離さない、って云いたいわけ? ほんと、朱実さんてずうずうしいわね。犯罪者の子供のくせに」
/583ページ

最初のコメントを投稿しよう!