5.一つしかない選択肢

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「違います!」 思いのほか大きな声が出て、狭い車内に響き渡る。 残響が消えると、ヒーリングミュージックがまるでそぐわず、滑稽に聞こえた。 表情から驚きを隠せない静華だったが、すぐさま立ち直ってくすっと笑みを漏らすと首をかしげた。 「事情はどうでもいいの。親が犯罪者ってことが問題なのよ」 その発言から、犯罪が紫己と繋がっていることまでは気づかれていないとわかった。 朱実は安堵しながら、静華とふたりでではなく、静華から紫己を守らなければと自分に刻む。
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