5.一つしかない選択肢

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「ねえ、朱実さん。 ムラサキが出ていけと云わなくても出ていくべきなんじゃない? ムラサキはただの一般人じゃないの。 まだまだ将来性のある企業の社長なのよ? 世間に知れたらどうなると思う? たとえ、朱実さんが犯罪者じゃなくても、お母さんが刑期を終えているとしても、そんなことは関係なくスキャンダルになってしまう。 ムラサキに飛び火して、会社を潰したらどうするの? ムラサキがいないとやっていけないのよ、C-BOXは」 こんなふうに朱実の過去が暴かれることははじめてではない。 祖母の養子になったときは、当然ながら母の実家だっただけに程なく知られることになったし、就職してやめた理由も、だれかが知って、会社に知られて、居づらくなったからだ。
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