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クリスマスからの半年間は、つかの間の夢を授けようという神様の情けだったのか、
幸せなど夢さえ見る資格はないという戒め、
あるいはもっと手ひどく、幸せからどん底に落として分をわきまえよと思い知らせたのか。
紫己は裁く権利は自分にあると云う。
それでかまわない。
ふたりの関係がいびつで救いはなくても、紫己が一緒にいることを望んでそうできるのなら、ずっとそれでいいと思ってきた。
それさえも朱実には贅沢なのだ。
マンションに帰りつくと、朱実はリビングに入って立ち尽くす。
紫己の帰りはいまだに遅い。
帰れば足錠で拘束されるけれど、それまでは朱実の自由だ。
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