序章 薄っぺらな愛

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「夢見てたみたいだから。……いつもの悪い夢?」 「いつも?」 「ごめんなさい……たまにそうかなって思うときある」 何を気取ったのか、彼女はつぶやくように謝った。 「意味のない謝罪をするな!」 苛ついたまま怒鳴った。それでも彼女は怯えることがない。 彼女は口を開きかけ、すぐさま思い直したようにいったん口を閉じた。 「……はい」 四つん這いにした躰を後ろに引き、彼女はベッドからおりる。 その間に耳につく金属音は夢のなかで聞いた音と同じだった。 紫己は腰もとを覆うシーツを剥いだ。 彼女はベッドのすぐ横に躰を丸めて寝転がる。 彼女専用の寝床にあるのは、クッションというには大きすぎるがベッドとは云いきれない。
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