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冷蔵庫からりんごを出して、まな板と包丁を準備する。
その間にジャケットを脱いだ紫己がやってきた。
「りんごを切るだけなら包丁じゃなくてもナイフですむ」
紫己はカウンター越しに朱実の手もとを覗きこんで口を出した。
なぜわざわざそんなことに干渉するのか、朱実にはさっぱりわからない。
「……どっちでもいいけど、わたしは包丁のほうが使いやすいから」
紫己は答えている間にカウンターをまわってキッチンに入ってきた。
「なら、プレゼントだ。よく切れるっていうナイフ。女が好きそうなデザインだろ」
「わたし……ナイフがちょっと苦手で……」
云いながら、差しだされた紫己の手に釣られて、朱実は目を向けた。
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