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とたん、洗っていたりんごを流しに取り落とし、朱実は足をもたつかせながら後ずさった。
「やっぱり見てたんだな」
紫己は感情のこもらない声でつぶやいた。
実際は普通に声を出していたのかもしれないが、朱実には遠くで聞いているようにしか聞こえない。
紫己の手から目が離せなかった。
紫己はゆっくりとカバーを外していく。
「だめっ。来ないで!」
一歩も動いていない紫己に向かって訴えるにはおかしな言葉だ。
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