5.一つしかない選択肢

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七月の最終日、外は雲一つなく快晴だ。 床にぺたりと座った朱実からは、外を見ても空しか見えない。 空調の効いた部屋からは清々しく見えるが、実際は朝にもかかわらず、すぐに汗ばむほど暑いに違いない。 「朱実」 ダイニングテーブルに座った紫己が、足もとで朝食を取る朱実にりんごを一切れ差しだした。 一昨日、結局は食べなかったりんごだ。 朱実が手でつかもうとすると、紫己はさっと手を動かして避ける。 そしてまた目のまえかざされる。 朱実は口を開けてりんごをかじった。 ペット扱いでも一緒に食べられるぶんだけ、ささやかでもうれしい。 そう感じながら会話もない朝食を終えて、片づけも終わった。 朱実はベッドルームに向かう。 すると、日曜日だというのに紫己はスーツを着込んでいた。
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