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紫己は躰を折ってベッドの脚もとから足錠を取りあげると、朱実のところにやってきた。
正面でかがみ、朱実の足首に足錠を嵌める。
不思議だが、この瞬間だけは紫己に尽くされているように感じる。
実際は、拘束という虐げる行為なのにもかかわらず。
一方で、紫己は主導権を持ちながらどうにもできない枷鎖(カサ)に繋がれているように見えた。
その鎖はどこに繋がれているのだろう。
紫己は立ちあがると、そっぽを向くようにベッドに向かい、ジャケットを手に取った。
「紫己。今日、夜はごはん作っておく」
「いらない。遅くなる」
「うん、待ってる」
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