5.一つしかない選択肢

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紫己はやはり知られたくなかったのだろう、つい紫己が嫌う言葉を口にしてしまった。 あらためて、苦しめている原因は自分だと朱実は自覚する。 打ち明けたほうがいい。 朱実こそが、紫己が本当に憎むべき相手なのだと。 憎むことを復讐することを、紫己が後ろめたく思う必要はまったくないということを。 けれど、いざ伝えるのは難しい。 もう未練も意味がないのに。 二度と会ってはならないのだから。 「……はい」 紫己はいまはもう、奉仕させるだけで朱実を抱こうとしない。 抱きしめられたい。 せめて、はだけた分厚い胸に頬を添えて眠りにつきたい。 そんな未練を切り捨てて、朱実は後ずさってベッドからおりた。
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