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ずっとよく眠れていなかったのか、紫己の躰が怯えたようにふるえ――
「結局、おれは母の意に背いている。
けどいま、母はあのとき救われたんだって思えるんだ。
何があったか知ることができていたら……おれが打ち明けていたら、だれも苦しまなかったかもしれない。
償うのはおれだ。朱実にも朱実のお母さんにも」
そう云った声もふるえていた。
「紫己が悪いことなんてない。
お父さんはわたしのせいじゃないと云ってくれて、だからわたしはお母さんとの約束、すぐに破るべきだったっていまは思ってる。
そしたら、いま云ったこと、紫己は話してくれたでしょ?
少しは状況が変わってたかもしれない。
何を云われるとしてもお母さんにまた会いにいきたい。いまそう思える」
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