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「おれも行く」
聖衣子が朱実をかばってくれたこと、そんな大事なことを置き去りにして、朱実は真実を突きつけられるのが怖くて逃げていたかもしれない。
受けとめているふりにすぎなかった。
紫己の言葉に、これから、という未来が見えた気がした。
「うん。お父さんをくれて、紫己のお母さんのことも、わたしは紫己から救われてるだけ。夢見ても大丈夫。夢からならわたしも紫己を救えるから」
「ああ」
短い返事は心底からあふれたため息のようだった。
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