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紫己があとを追うようにベッドをおりると、自分のシーツをつかみかけていた彼女は戸惑いを目に映す。
まるで巨人のように立ちはだかった紫己を見上げた。
シーツを放した彼女は上半身を起こすと、紫己に手を伸ばしてきた。
再び夢のなかと重なる。
「触るな」
細い指先がオスに触れる寸前で紫己はその手を払いのけた。
皮膚が弾かれる乾いた音は、そのままふたりの関係を表しているようだった。
そうされて傷ついた顔をするわけでもなく、彼女は享受する。
傍から見れば、紫己は加虐者で、彼女は被虐者だ。
けれど、そうじゃないことを、彼女が享受していることを証明するのはたやすい。
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