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「…………いや、俺別にいい子ちゃんじゃないっすし。というか、この歳になってそんな小さな子供みたいな扱いされると照れるっす……!」
「怒るんじゃなくて?」
「だってみなさん絶対からかってるんじゃなくて、本気でそういってるでしょ!怒ったりなんてできないですよ……あー、恥ずい」
オーバーなリアクションだとは思ったけれど、会話の流れにのってそのまま机の上に突っ伏してみる。心地よい酒田の笑い声が聞こえたあとしばらくして、近くへとやって来る足音がした。それに顔をあげると、両手に皿を持った酒田が有馬を見下ろしていた。
「ほら、有馬くん。お昼食べましょう?さ、起きて起きて」
少し伏し目がちにテーブルの上に皿を並べていく酒田の姿を無意識のうちに負っていることに気が付いて、慌てて並べられていく料理に視線を移す、何故か今日はやけに酒田を目で追ってしまう。それに気づかれて、酒田からきょとんとした顔で見つめ返されることもしばしばあった。昨夜酒田のことばかり考えていたせいで、条件反射のように酒田の様子をうかがうようになってしまったのだろうか。
”……いや、よく思い返せば、もっと前から――――”
よくよく出会ってから今日までのことを振り返って見れば酒田の姿を目にしている機会は多かった気がする。今ほど視線がかち合うことはなかったけれど。
”俺、なんでこんなに酒田さん見てんだ……?”
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